クラシック音楽の演奏は基本的に作曲者の意図したであろうことを再現することが基本だと考えています。
しかし、その手立てはご存命の作曲家でない限り、楽譜のみ。
指導者からのアドバイス、研究書や解説書、様々なアーティストの演奏など大いに参考になりますが、自分でじっくり読み解いて行くことが大切ですね!
同じ作品でも沢山の楽譜が出版されていて、迷うこともあるかと思います。
何故こんなにあるのかな?
何が違うんだろう?
今、ハイドンのピアノソナタに取り組んでいる生徒さんは全音出版社のソナタアルバムを持参されました。
そこで、ハイドンの自筆譜を元に研究され、作曲者のオリジナルに近いヘンレ社の原典版を紹介しました。
初めて原典版を見た人は、強弱記号、アーティキュレーション(スラーやスタッカートなど)、フレーズ、運指などの指示が殆どなく、記された音符自体も違う箇所があるのに驚かれます。
反対に、学者や演奏家が研究して様々な指示を楽譜に記した色々な校訂版は、演奏のヒントになることが示されているので、即練習に取り入れることができる反面、1種類の楽譜しか見ていないと、それが全てだと勘違いしていまう可能性があります。
それ故、ご持参の全音の楽譜を使用しながら、オリジナルはどうなっているのか私所有の原典版で確認し、また同様に他の校訂版(春秋社:井口基成/春秋社:井上直幸)も参考にして、それぞれ何故そのように記されているのか紐解きレッスンしています。
時間は要しますが、本質を見極めていくと、表現において幾つか異なったプランが見いだせ、返って自由度が増します。
つまり、強弱法やアーティキュレーションの解釈が1種類でないということです。
勿論、全体の構成を掴みながら、美しくセンス良く選択する必要はあります。
その辺りの提案をしながら、個々の感性を盛り込み、創り上げていくことも演奏過程の醍醐味です。
この生徒さんは目指すものをお持ちなので、上記のようなレッスン内容ですが、そこまで専門性を求めていない方は、余程ミスの多い楽譜でない限り、お手持ちのもので良いと思います。
どちらにしても、新しい楽譜を開くとき…独特のワクワク感を感じませんか?
また、見慣れた楽譜と思っていても、改めて読譜すると作曲者の意図を慮るヒントとなる新たな発見や、楽想に出逢います。
文字にすると少し難解な表現になってしまいましたね。
要するに、楽しみを見出せると言うことです!(笑)