スロー・スターター

前回は小学校の音楽会の話題でしたが、私自身、自覚しているピアノとの出会いはまさしくそこからでした。

 

ピアノやヴァイオリンなどは早期英才教育を基に演奏家としての資質が育まれるのですが、私の場合、親がそのレールを用意した訳でもなく、かと言って自ら純粋に音楽に魅かれて始めたのでもなく…。

 

まず、幼稚園の頃は、歌やお遊戯などに特別な興味があった記憶はなくて、帰宅して家人に話すことと言えば、担任の先生の洋服の色やコーディネートの報告が第一声だったようです。(と言っても入園から数ヶ月の間だけですが)

失礼ながら担任の先生のお顔はおぼろげですが、とても綺麗でおしゃれな方だったと思います。所謂、初恋でしょうか!?(笑)

 

そんな私も小学校に入学して、少しばかり音楽に目覚めました。

学校の講堂で開催された音楽会。上級生たちが各クラスごとに器楽合奏でした。いろんな楽器、いろんな形、いろんな音色…幼稚園とは違う光景…

「ムムッ…あの真っ黒で、すごく大きな楽器は…?しかもひとりで弾いている…かっこいいなぁ…あんなのが弾けたらなぁ…。笛やハーモニカなど他の楽器は何人もいるし、シンバルは一人だけど、やりたいと思わないなぁ…やっぱり、あれだな。ピアノ!あれにしよう!!」と見た目で判断し、しかも来年は自分も舞台で演奏する気になっていると言うオメデタイ子供でした。

親に頼んでも「すぐ飽きて辞められたら困る」となかなか始められませんでしたが、1年に渡りしつこく言い続けるもので、やっとピアノを購入、レッスンもスタート!

動機は不純ですが、やる気は満々!しかも既に習っているクラスメイトもあるので、出遅れているわけですし、追いつこうと一生懸命に練習する日々が始まったのです。

その当時のピアノの先生はそんな事情をご存知ないこともあって「よく練習してくる!合格!」と褒めてくださり、いい気分になっていました。

 

そして、音楽会が近づいたある日のこと、担任の先生から合奏で担当したい楽器を相談するように…との指示。

勿論、自分はピアノに決まっている!それ以外有り得ない!と勝手に思い込んでいましたが、多くの同級生が立候補したため、くじ引きとなり、あぶれてしまいました。ちなみにピアノ希望に漏れた者は♪ブーガーブーガーと鳴るオルガンのアンサンブル パートでの参加になりました。

大層残念ではありましたが「次回こそは!」と諦めず練習に励み続け、徐々に音楽そのものの魅力も感じて、ピアノの発表会にも出演させて頂きました。

そして、いよいよ翌年の音楽会が迫って来ました。

私が待ちに待った時です!

 

先生「さぁ、今年の音楽会ですが…」

私「(心の中で)ふむふむ、今回こそは!」

先生「事情により今年からは…」

私「そうそう、今年からは、くじじゃなくて実力で選んで欲しいなぁ」(とスゴイ自信)

先生「今年から音楽会は中止となり、代わりに絵画展になりました!」

私「なに???ガ~~~ン!!」

と言う訳で、小学校での演奏の夢は儚く消えてしまったのです。

 

 

在学時代は講堂で開催される音楽会でピアノを弾く機会はありませんでしたが、やがて演奏家としてデビューして10年後くらいだったでしょうか、専門職の卒業生を招いて各分野を紹介する企画を各校が催され、お呼びがあって晴れて実現しました!(笑)

その時、感想文を寄せてくれた小学生がやがてサックス奏者となり、別のコンサートで共演に至ったこともあり、感慨深い思い出です。

「地域で生の音楽を聴ける」とご好評を頂き、音楽鑑賞会や土曜授業「ピアノコンサート」等のご依頼があり、喜んでお受けしています。

(今年も開催予定でしたが、一連のウイルス感染拡大を考慮して、この公演も中止になってしまいました。)

 

幼い時に見たり聴いたり感じたものは色々な影響がありますね!

機会がまた巡りましたら、また心を込めて演奏したいと思います。