長く音楽に携わっていると、コンサートのお客様やレッスンの生徒さん、ご家族との関係も随分長く続いていることが多いです。
お客様の中には90歳以上の方が数名おられます!
レッスンの場合、それぞれの節目で卒業される方もありますが、その後の近況が届くとまた嬉しいものです。
彼ら、彼女らと中・高校生くらいから実際会ってない場合は、その時の面影でストップしているので、「東京で一人暮らしが続き、○○大学院に進みました!」とか「結婚しました!」とか「我が子のレッスンをお願いしたいのですが…」等の一報には、その成長ぶりに感慨にふけりながら、当時の可愛い反抗期や思春期のひとこまをふと思い出し、一人にんまりしてしまいます。
そのような中、熱心にピアノに向かい、幾つかのコンクールにもチャレンジして優勝、入賞を果たしながら音楽の道でなく、大学は薬学に進学したかつての生徒さんがいます。
卒業後、彼女はその素晴らしい専門性を生かして医療に従事、そして結婚、出産…と喜ばしいニュースが入っていました。
また、私のコンサートに彼女経由でなく、偶然ご親戚が来られたこともあり、終演後、その方から「もしや○○の先生では?」とお声をかけられ、ご縁を感じたことも。
そんな彼女も、ご夫妻とも仕事に貢献されながらの幼子の子育て中でもあり、近年コンサートは来られていませんでしたが、私の演奏をYouTubeで楽しんでくれているようで、またfacebookでも繋がり、ちょっとした接点ができていました。
しかし、喜ばしいニュースばかりではなく、「母が亡くなりました…」との訃報に接し、ただただ驚くばかりでした。
残された彼女達は、さぞお心落としであろうと思います。
彼女がピアノに向き合っていた時代にしか私は交流がありませんでしたが、常に懸命に最大限に我が子のサポートをなさっていたお姿が昨日のことのように思い出されます。
お母様は、小学生だった彼女に一層の上達を目指し習わせたいと他所から私のレッスンに移られ、その後、新たにグランドピアノを買い替える時にも「先生に楽器の選定をお願いしたい!」と積極的におっしゃり、同行したこともありました。
その後、存じ上げませんでしたが、難しいご病気と闘いながらも、お気持ちや頭脳はしっかりと保っておられ、いつも明るくユニークで頼れる優しき母上だったようです。
彼女が綴っている文章から少し引用しますと…
「絶対的な味方を失い、私は凹んでおります。しかし、孫の大好きで仕方ない母でしたので、しっかり娘を育てなければ、母に本気で呪われると思いますので、凹んでばかりおらず、明るく頑張って行こうと思います。」とあり、深い悲しみの中にも、お母様譲りの独自性と、母性の温かさと逞しさを感じます。
まだまだ現実が信じがたく、悲しみも日に日に増すかも知れませんが、天国からおおらかで力強い愛を感じ、前進していかれることでしょう。
ご冥福をお祈りすると共に、私自身もご縁によって頂いた時空を宝に、また現在を大切にし、未来に繋げて行けるように…と心する思いです。