高さの違う音が同時に響き合うことを「和音」と言います。
「和音」の「和」には「仲良く」とか「合わせる」とか「混ぜる」と言う意味がありますね。
和音=ハーモニー(harmony)は元々、ギリシア語のハルモニア=調和を由来としているので、ピッタリの和訳ですね!
ですから、それぞれの音が混じり合うように、良く聴きながら練習します。
曲によっては、敢えてぶつかったようなインパクトのある弾き方や、鋭いタッチを必要とする場合もありますが、一般には美しく溶け合うタッチで…まさしく「仲良く、ケンカしないように」響きを作ります。
さて、今日は初級のレッスンで良く似た和音に少し戸惑い気味の生徒さんがいました。
下の譜例の1小節目の左手(ヘ音記号の方)、伴奏パートの1拍目と3拍目が同じになったり、入れ替わったり、こんがらがったりするのです。(同じだったら楽なのに!なんで?って感じでした)
そこで、これを解決するために、元の和音にまとめて弾くことから始めました。
そう!元は全く同じ和音であることをまず認識します。
1小節目は4つの音[ソシレファ]から構成されています。(四和音)
この和音を何度も味わいながら弾きます。
「仲良く」揃うように…バラバラにずれてしまわぬように肘や手首を柔らかく保ち、鍵盤に指をフィットさせて4つの音をストンと同じ圧力で落とします。ほんの少し掴む感じにした方が上手くいくようなら、無理のない程度に使います。
次に、元の楽譜に戻り、1、2拍目をまとめると、[ソレファ]で[シ]が省略され、3、4拍目をまとめると[ソシファ]で[レ]の音が省略されているのがわかります。
それらをまた何度か弾いてみます。
そして次に右手のメロディーと一緒に弾いて、和声感と指のポジション両方を感じながら練習します。
左手の和音は元々4つの音から成り立っているのに、それぞれ1音づつ抜いているのは、右手のメロディーの音と重なっている音を省いたのです。
つまり右手が[シ]を弾く時、左手は[ソシレファ]の[シ]を省き、[ソレファ]となるように。
左右の音がオクターブ違いの同じ音になると、一瞬ユニゾンが生まれ、協和しずぎて響きがストレートになるため、上記のようにして豊かにハモるよう工夫しているわけです。
ここまで理解し、指の動きもスムーズになってきたら、元の楽譜通りに、左手だけ弾いてみます。
そして上手く弾けたら、右手のメロディーも加え、両手で練習。
もうこんがらがらなくなりました!
更に、和音の機能(持っている働き)を感じて、譜例の1小節目は少し強めに弾いて、2小節目は終始感を持って安定するように少し弱くして収めます。(和音の機能の詳細はまた次の機会に譲ります。)
また、伴奏とメロディーのバランスも良く聴くようになり、メロディーの進行を生かしたクレシェンド、ディミヌエンドも工夫して、たどたどしい弾き方から卒業!随分かっこよくなりました。
次回は全体を仕上げられそうで、楽しみです。