自粛解除から徐々に対面レッスンが再開できるようになったこの頃。
今日は生徒さんとのご縁で指導している大人のグループのレッスンで日でした。
感染症対策を踏まえながら、久々の再開&再会に「音楽ってホントにいいですね!楽しかった」と言ってお帰りになり、こちらも充実感を持たせて頂けました。
それまでも、勿論仕事に喜びを感じていましたが、今回のような事態になると、より一層実感します。
一連のコロナ報道の中で、早い時期にクルーズ船のニュースが話題になっていましたね。
かつて国内外のクルーズ・コンサートに出演していた私には他人事では無い心持ちでいました。
関係者の皆様は本当に大変だったと思います。
そのお仕事から離れて久しいのですが、今回の件をきっかけに色んなシーンが思い出されました。
それは、ある夏、日本一周をフルで乗船した時でした。
コンサートは通常、ディナーの後、船内の大ホールやサロンで開催されます。
本番以外の時間帯は出演者も乗客と同じようにレストランで自由に食事をしたり、オフの日は他のエンターティナーのステージやカルチャースクール、ダンスレッスンなどを楽しんだり・・・。その中でお客様とお話する機会も度々ありました。
船旅も終盤のあるオフの日のティータイム、乗務員(クルーズ・ディレクター)から声をかけられ促された方に向かうと、30歳代くらいの女性二人と少し年配の車椅子の女性の三人連れのお客様がおられました。
そこでスタッフが「皆さんピアノがとても好きで、特にお一人が阪本さんの大ファンになったそうですよ。車椅子の方が握手を求められているので、お願いできますか?」と言うので、勿論、喜んでさせて頂きました。
すると、ちょっと恥ずかしげに、ポッっと頬を赤く染められたのです。今どき珍しい・・・と言っては何ですが、何とピュアなご婦人なんだろう…と、私の方が感激しました。
そして、その方々が去られた後、ディレクターが「阪本さんに握手のお願いをされるまで、ご本人は毎日随分迷われたようです。帰港も近いので早く伝えなければ・・・と他のお二人が船内スタッフにお申し出になりました。」と温かく微笑みながら話してくれました。
「仲の良さそうな皆さんでしたが、親子か、親戚の叔母様と姪子さんとかですか?」と私が尋ねると、「いえ、同年代のお友達同士と伺っています。ただ、車椅子の方は、実年齢より早く歳をとってしまわれる ご病気で・・・」との答え。
私は自分の薄学を恥じると共に、この一期一会に感謝でいっぱいになりました。
他人には分からないご病気の辛さもおありでしょう。
その上で結ばれている温かい彼女達三人の友情に触れることができて、こちらまで心が熱くなりました。
現在、色々なところで新たな生活様式が求められ、必要になっていますが、大切な人と人のふれあいはどのように守っていけるのか…と、問うばかりです。